私は、現在LAのアパレル会社で、20年以上グラフィックデザイナーとして働います。
最初からクリエイティブな道を一直線に進んできたわけでもありません。
このシリーズでは、アメリカでグラフィックデザイナーとして働き始めるまでの道のりと、アメリカで働くリアルや、日本との違いについて全4話の連載を書こうと思っています。
海外で働くことに興味がある方や、
やりたいことがあるのに、一歩踏み出せない方に、
少し何かヒントやきっかけになれば嬉しいです。
🔗【第1話】なぜ私はアメリカでデザイナーになったのか|遠回りから始まったキャリア(こちら)
▶️【第2話】アメリカでデザインの仕事を探す|アメリカ就活のリアル →(このベージ)
🔗【第3話】アメリカの会社で働くということ|日本との違いとリアルな職場環境 →(順次公開)
🔗【第4話】それでも私がアメリカで働き続ける理由|デザイナーとしてのやりがい →(順次公開)
【第2話】アメリカでデザインの仕事を探す|アメリカ就活のリアル
前回は、私のアメリカでグラフィックデザイナーとして働くまでの経緯を書きました。
今回は、おそらく海外で働くことに興味がある人が一番知りたいこと、
アメリカでの就活の仕方、特にデザイン業界の仕事の探し方について書きたいと思います。
労働ビザ
アメリカで働くには労働ビザが必要です。
ほとんどが、会社側にスポンサーになってもらい、取得するものです。
最近ではビザ申請をしてくれない会社が多くなっていたり、
取得自体が時間も費用もかかり、困難になっているみたいです。
ビザのことは、ネットで専門的な情報が沢山あると思うので、ここでは話しませんが、
私の場合は、
学生ビザ→ OPT → H1-B→ 永住権
でしたが、当時でもかなり困難で時間がかかった道のりでした。
正直、永住権を取るまでは就職先への制限(ビザスポンサーの会社でしか働けない)があるし、3年ごとの更新なので、条件付きでアメリカで暮らしている感じがして落ち着きませんでした。
残念ながら、ビザの問題を乗り越えないと、アメリカで就労できません。
ハードルが高くて、アメリカで働きたい夢を諦める人も多いかもしれませんが、
できればチャレンジし続けてなんとかクリアしてほしい。
新卒で仕事探しの場合
アメリカには新卒一括採用システムなし
アメリカでは、日本のような大学卒業のタイミングで
一斉に4月入社するようなシステムはありません。
アメリカの大学は、入学と卒業時期が人によって
バラバラなことも多く、企業側も新卒を採用する
という感覚はなく、採用するポジションが空けば
人を探すと言った感じで、
新卒採用時期を特に設けていません。
学生はどうやって仕事を探すのか?

アメリカでは、学生時代から、
インターンシップで実際の企業で働いたり、
(実際にクラスのクレジットにもなるので
インターンシップ必須なことが多い)
バイトも将来就きたい仕事に近いような仕事をして、
学生のうちから、ネットワークづくりと
経歴をつけていく人が多いです。
そのままインターンシップから正社員採用もあります。
(昨今、不景気で少ないかも。)
あとは、ジョブフェアーなどに積極的に
参加して仕事を探すのも一般的。
フェアーは、学校へ直接企業が出向いて
行われる新卒学生をターゲットにしたものや、
リクルート会社が職業別に行うフェアーもあります。
直接企業で働いている人へ質問できたり、
その場で簡単な面接も受けたりできるので
絶好のチャンスのイベントです。
経験がないので、最初の仕事探しは厳しい
新卒採用システムがないので、学校卒業後の仕事探しはかなり厳しいく長期戦です。
仕事経歴なし、英語もそこそこ、ビザ問題もあるかなり不利な私。
アメリカのデザイン学校を卒業したものの、
はじめの仕事探しにかなり苦労しました😭
では、当時どうやって仕事を見つけたか?
一言で言うなら、「根性と諦めない精神」です🔥
とにかく、学校、友人、家族全ての人に仕事を探していることを言いまくって、
いろんな会社を紹介してもらいました。
もちろん、ことごとく不採用。
もうダメかと思い出した頃に、無償のインターン職をゲット。
その後、有給インターンをいくつか経験して、
やっと小さなデザイン会社でパートタイマーとなりました。
(詳しくはこちらの記事で。)
正直、アメリカで働くには、強いバイタリティーと決断力、
そして、自分が何をしたいかはっきりさせておくことが大切です!!
そうでないと、
厳しい就職活動はもちろん、ビザ問題、
かなり心をやられます。
「自分は一体アメリカで何してるんだろう」っと🥲
一般的なデザインの仕事の探し方
では、一般的な仕事の探し方はというと。
求人サイトで仕事探し
私が実際使っているサイトは日本でもお馴染みのサイトも。
- Indeed
- StyleCareers – アメリカで最大のファッション専門求人サイト
LinkedInやIndeedは、やはり求人の数が多いし、
登録しておけば、レジュメも、職歴も全てシステムにアップロードされているので、
仕事を応募する時、スムーズにいき楽で良いですよね。
StyleCareersはファッショ業界に特化した求人サイトなので、
ファッションの仕事を探している人はぜひチェック。
好きな会社に直接応募もあり

特にデザイン職だと、自分がファンのデザインスタジオや会社があると思います。
求人情報がなくても、直接レジュメとサンプルワーク(作品)を数点添えて、なぜ興味を持っているかなどを書いてメールすることをお勧めます!
特に小さな会社やスタジオは、人事課がなくて、
オーナーがメールをチェックしていることも多いので。
すぐには仕事に繋がらなくても、あなたの熱意やデザインのテイストを気に入ってくれたら強い印象として残るし、次に求人するときに声をかけてくれたり、他の仕事を紹介してくれる可能性もあるからです。
メールすることで何も失うものはないので、ぜひ積極的にやってみてください。
理想の会社で働くチャンスも無きにしてあらず!
アメリカだと、意外とあるんです、嘘みたいなご縁が。
リクルーターを利用
数年アメリカで仕事経験がある人は、リクルートエージェンシーに登録して、
仕事を探してもらうのもありです。
私は、アパレルでのグラフィックデザイナーなので、
ファッション業界に特化したリクルーターに登録しています。
- 24 Seven – ファッション業界に限らず、クリエイティブ職のリクルーター
- Fourth Floor - ファッションやビューティー業界に特化したリクルーター
- JBC– こちらもファッションやビューティー専門のリクルーター
私が過去に使ったことがあるのがこの3社。
現在仕事を探していなくても、登録しておくと、
条件が当てはまる仕事があると連絡が来るので、
登録することをお勧めします。
私は、リクルーターさんのおかげで、
結構条件良い仕事に転職できた経験が何回かあります。
(リクルーターさん持ってくる仕事は、
後押しがあるので、かなり有利に採用プロセスがいくことが多いです。)
仕事の応募の仕方
最近多くの会社が、人事アプリを使用しており、
採用応募専門のサイトが設けられています。
そのサイトで、氏名などの基本情報の入力、
レジュメアップロードなどし応募するのが一般的です。
日本も同じでしょうか。
最近は応募データをAIでレビューされることが殆どで、
仕事経歴や年数、または住んでいる場所などで、
自動的に弾かれることも多く、求人を出している会社側が、
何を求めているかを見極めてレジュメを書き換えたりすることも必要です。
(経歴に嘘はつかないけど、このキーワドは入れた方が良いか悪いかといった感じで調整する。)
レジュメ
レジュメとは履歴書のこと。
日本のものとはちょっと違います。
まず、顔写真などは必要なく、
生年月日や年齢、性別は記入することなどなく、
個人情報を守るため、
最近では住所や電話番号も書かなくてもよくなっています。
詳しいレジュメの書き方やテンプレは、ネットでたくさんあると思うので、
ここでは、デザイナーのレジュメのTipsを何点かあげてみようと思います。
レジュメのデザイン
デザイナーなのでレジュメの見た目は大事です。
デザインを凝りすぎる必要はないけれど、
読みやすいものを大前提で、フォントを変えたり、
少し色をつけたり、
自分のロゴをつけたりして、
Wordでタイプしただけのつまらないレジュメは避けましょう。

在職経験
ここが一番チェックされる項目です。
新しい仕事の経験から順にリストしていきます。
仕事経験が少ない場合でも、フリーランスでやったプロジェクトや、
ボランティアでやった仕事でも経歴として書きましょう。
経験が多い方が良いですし、仕事経験年数が、
採用側が求めている年数よりも少なくても、
これまでにやってきたプロジェクト内容を重視する場合も多いので、
自分に有利になる過去のプロジェクトは、ぜひリストしましょう。
最終チェックを第三者にしてもらう
友人や家族に見てもらって、見た目の印象や読みやすさ、
誤字脱字もチェックしてもらいましょう。
英語ネイティブな人にチェックしてもらうとなおさら良いです!
ポートフォリオ
デザイナーの仕事探しで、一番大事なのがポートフォリオです。
私が若い頃は、実際にプリントした作品をファイリングしたポートフォリオブックを持って面接へ行っていました。

昨今はデジタル化で、ほとんどの人が自分のポートフォリオサイトを持っていて、仕事応募の際に必須とも言えます。
やはり、グラフィックデザイナーとして、自分のURLのオリジナルサイトは持っておいた方が良いですね。
最近は、あまりコストがかからず、結構簡単にサイトが作れるので。
それでも難しい場合は、Behanceや Dribbleなどのポートフォリオプラットフォームを利用し無料で自分のページを作りましょう。
ポートフォリオは、量より質です。
自分の経歴とスキルがわかりやすい作品を載せることが大事。
例えば、私の場合、アパレルグラフィックデザイナーなので、
Tシャツグラフィック、テキスタイルデザイン、
刺繍装飾などのデザイン作品はもちろん、
それ以外にも、市場調査のリサーチスキルもあることをアピールするため、
シーズンごとに作るインスピレーションボードなどをサイトに挙げています。
デザインプロセス、どのようなアイデアでこのデザイン、
商品になったのかを付け加えると、ポイントはかなり高くなります。
アメリカでは、作品の仕上がりよりも、
どういったプロセスでデザインをしたのかという
理論的な思考ができる人材が求められます。
自分のブランディングが大事
レジュメとポートフォリオサイトのビジュアルはもちろん、自分のメッセージやデザインに対するモットーなど一貫性を感じられるように作ることが大切です。
自分はどんなデザイナーなのかが伝わるように自分を上手にブランディングできると良いですね。
採用プロセス
一般的な採用プロセスはこんな感じ。
応募(オンライン)→ 面接 → テスト → 採用
大きな会社だと、この一通りのプロセスが1〜2ヶ月かかることがザラです。
面接

採用側が自分に興味を持ってくれたら、メールで面接をしたいと連絡がきます。
ほとんどがZoomなどのオンライン面接です。
最初の面接は大体、人事の人との簡単な面接です。
現在の仕事や過去の仕事経験、ビザのサポートは必要かどうか、ハイブリット勤務の場合、通勤は可能であるかなど基本情報を聞かれます。仕事に関する質問は、殆どされることがありません。
人事の人との面接が上手く行くと、2次面接へ進みます。
2次もオンライン面接が多く、直属となるボスと面接することが多いです。
“Tell me about yourself.”
今までの自分の仕事経験を話してくれと、大体この質問を最初にされます。
その後、もっと仕事内容に関したテクニカルな質問をされたり、
部署の構成や会社の社風はこんな感じなど、
ご丁寧に紹介してくれる人も多いです。
最後は、自分の作品を説明を付け加えながら
プレゼンして終わる感じです。
その後、3次、4次と面接が行われることもあり、
実際に会社へ招待されて、部長や課長といった
上の位の人と面接する場合もあります。
面接TIPS
1) 応募した仕事内容や会社に疑問ある場合は、
面接中に絶対質問しましょう。
本気で応募してくれている熱意が伝わります。
2)面接後、フォローアップのメールを送りましょう。
簡単なもので良いです。例えば、
Hi [Interviewer Name],
Thank you for taking the time to interview me today. I enjoyed learning about [company name]’s approach to [specific topic] and remain very interested in the [Job Title] role.
I look forward to hearing from you soon.
Best,
[Your Name]
3)もし希望の給料はいくらと聞かれた場合は、
希望額の少し上の額を伝えましょう。
そのまま希望額がもらえたらラッキーですが、
交渉となった時、希望額より下げて提示してくるので、
元から少し希望額を上げておくと良いということです。
デザインテスト
私の経験上、2次面接で気に入られると、
デザインのテストを受けることが多いです。
大体一週間ぐらいの期間を与えられ、
課題に対して、デザイン案を3つぐらい提出してくれといわれます。
これによって、即戦力になる人材であるか試されています。
期限いっぱい使っても問題はないですが、
できるだけ早く仕上げて提出する方が好印象です。
そして、ただ仕上げた課題のページのみを提出するのではなく、
表紙をつけ、PDFで何ページかにまとめたり、
ページのレイアウトもきちんとし、
プロらしさを出して課題を提出しましょう。
デザインはとにかくプレゼンが大事!
採用
長いプロセスの最後。
採用の旨のメールが届き、喜んでいる暇もなく、
次々やることがあります。
仕事タイトル、給料、健康保険など
の福利厚生内容、
いつから仕事を始めるなどの
採用に関する契約書が送られてくるので、
それに目を通してサインをします。
給料などについて交渉したい場合は、
この書類にサインをする前にします。
不満な部分があるなら、できるだけ勇気
を振り絞って交渉しましょう。

この契約書にサインをしたら、やっと一息できます。
絶対に採用決定の書類をもらいましょう!
口約束の採用で、
あとで採用が取り消しになったり、
提示された額の給料を支払われなかったり
するトラブルを防ぐためです。
そして、運転免許証などの身分証明書と
ソーシャルセキュリティー番号を渡して、
バックグラウンドチェックもされます。
犯罪歴がないか、移民の場合、
合法に働けるステータスなのかなど、チェックされます。
大きな会社は社内のルールブックが渡され、
勤務形態、服装、仕事の守秘義務など、
ルールに従えるかどうかに同意のサインをして、
やっと晴れて新しい仕事が始められます。
アメリカでは転職は当たり前
アメリカ人は転職が多い。
3年同じ仕事すれば、長い方。
私の現在の仕事、6年が最長。
将来性ない、自分に合わないと思ったら、
潔く転職活動して辞めていくのが普通。
大きなプロジェクトが途中であろうが、
時期を気にせず、後腐れなく辞めていく。
このアメリカ人の行動力はリスペクトする!
嫌なことは嫌、我慢はしない。
長年アメリカで暮らしていても、日本人の私は、
なかなか真似ができないところです。
まとめ
デザイン職の仕事の探し方、自分の経験をベースに
書いてみました。
私は、日本での就職活動の経験はありませんが、
アメリカでは、ポテンシャルがあるから雇う
というよりは、即戦力にすぐなることが
求められています。
丁寧な仕事、協調性なども、
もちろん大事なのですが、
特にデザインの仕事では、
全体的に満遍なく仕事ができるより、
専門的スキルを持つ人が
求めている傾向です。
職務経歴とポートフォリオは、
就職活動の成否を分ける非常に重要な要素です。
細部まで時間をかけ、自身のスキルと実績を
最大限にアピールできるよう丁寧に作り込みましょう。
次回は、長年アメリカの会社で働いている私の視点から、
日本との違いとリアルな職場環境について書きます。